Mr.Children が見ていた未来(後半)
前回に引き続き、今回もMr.Childrenを取り上げたいと思います。
『終わりなき旅』で再び活動開始
「終わりなき旅」は15枚目のシングルであり、発売とともに活動を開始しました。
音楽を作ってるというのはちょっと違って"自分を通して音楽が降りてくる"と言う感覚
自分の意識をどんだけなくすことで思いを湧き上がらせるか、自然にいかに思いを湧きあがらせるかという作業
「終わりなき旅」を作詞・作曲した時のインタビューに対して、桜井さんはこのように応えていました。
そして、歌詞を実際に見てみると
胸に抱え込んだ迷いが、プラスの力に変わるように
いつだって今日だって僕らは動いてる
活動休止や桜井さん自身のスキャンダルなど、マイナスに見えているものを歌というツールを通して、プラスなものへ変えることができた。その作品が「終わりなき旅」。
結果として、多くの人が心に秘めていたであろう気持ちを曲にできたのは、活動休止という充電期間なしにはありえなかったことでしょう。
また、「終わりなき旅」はドラマ「殴る女」の主題歌として使われていました。曲にマッチしたドラマであり、涙なしには見ることはできません。
Mr.Children - 終わりなき旅 - ap bank fes 09 LIVE
2007年の時点で桜井和寿は近未来を言い当てていた
桜井さんの音楽に対する、情熱やプロ意識は言葉では言い表すことができません。
その象徴として、2007年のインタビューで、桜井さんは「CDは売れなくなってくる」ということを言われていました。
当時(2007年)は、iPhoneの発売やダウンロード形式が主流になりつつあったものの、CDの売上が突然低くなったということはなかった。しかし、桜井さんは、この時点でCDが売れなくなっていく未来が見えていました。
CDにこだわる理由について、桜井さんは
一番怖いのは、CDがなくなることじゃなくて、みんなの心の中において音楽の影響力が薄れること
CDの売上がどうのこうの、配信がどうのこうのって言うけど、でも本当にその音楽を聴いた瞬間に自分の人生が変わるくらいワクワクしたり、ドキドキしたり、せつなかったりする音楽が減ったから、見捨てられてきてるんだと思うんです(2009年)
と、このように言われていました。また、CDが売れなくなるのは仕方がないこととしつつ、危惧していることは「音楽の影響力」が薄れてしまうこと。
そもそもクリエイターたちは、何か伝えたいものがあり、それが音楽や絵なのか、または本や言葉を通じてなのか。ここで、共通していることは、さまざまなツールを使って伝えたいことがあるということ。
その思いが届かなくなるのではないか、という危惧を2007年頃に感じていたようです。
Mr.Childrenと石井竜也。Mr.ChildrenとRADWIMPS。
もう3年前になりますが、RADWIMPSが「10th ANNIVERSARY LIVE TOUR RADWIMPSの胎盤」のファイナル公演を行っていました。
その際にMr.Childrenを迎え入れて、ステージを展開。桜井さんは、ゲストに迎え入れられたことについて
このツアーはいろんな人とやってたけど、サッカーで言えば僕らとスピッツだけがオーバーエイジ枠で(笑)。若くてまだまだ伸び盛りのA代表のバンドの中に、オーバーエイジ枠として呼んでもらえてうれしいです
と言われていたようです。仲の良さがわかるやりとりであると同時に、RADWIMPSと一緒に音楽を届けることができる喜びも伺うことができます。
そして、桜井さんとのやりとりのシーンは、かつてのMr.Childrenと石井竜也さんのやりとりにとても似ていました。
Mr.Childrenのメンバーを中心とし、さまざまなゲストを迎え入れステージを行うap bank fes。
2009年のap bank fesの際に、ゲストの1人として石井竜也さんが迎え入れました。イントロと同時に石井竜也さんが登場し、
ミスチルの前座だぜぇ!!!
と言い放つとともに「君がいるだけで」を歌い始める。石井さんのMr.Childrenに対するリスペクトしている光景が、桜井さんとRADWIMPSのやりとりにとても似ているように思えた。
音楽界を盛り上げているRADWIMPSに対して、桜井さんはこれ以上ないプレゼントをしたのではないでしょうか。かつて自分たちもそうされたように。
君がいるだけで (米米CLUB) - 石井竜也 with Bank Band - ap Bank fes 09 LIVE